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食品加工の原価計算のやり方|歩留まりを踏まえた「1個の原価」と利益の出る売価【宮崎】
ツール

「原料費は分かる。でも、加工したあとの“1個の原価”は、正直どんぶり勘定」——食品加工の現場で、こんな声をよく聞きます。原料を仕入れ、切って、煮て、詰めて、製品にする。この加工の過程で必ず起きるのが、「歩留まり」——皮や芯、水分やロスで、使える量が減ることです。
原料高騰が続くいま、この歩留まりを踏まえずに値付けをすると、材料費を安く見積もりすぎて、知らないうちに薄利、あるいは赤字で売ってしまうことがあります。逆に、歩留まりを正しく織り込めば、「1個いくらでかかっているか」「いくらで売れば利益が出るか」が、はっきり数字で見えます。
この記事では、食品加工の原価計算のやり方を、どんな食品加工にも使える基本=「歩留まりを踏まえた1個の原価と売価の出し方」で解説します。あわせて、原料費と歩留まりを入れるだけで1個の原価・原価率・利益の出る売価を出せる無料のツールもご用意しました。値付けの根拠づくりに、宮崎の食品製造の事業者の方にお使いいただけます。
※本記事の計算は考え方を示す目安です。歩留まりは品目・時期・製法で変わります。重要な価格決定は自社の実測値でご確認ください。
なぜ食品加工の原価計算は「歩留まり」でつまずくのか
食品加工の原価計算が難しいのは、仕入れた原料が、そのまま製品の量にならないからです。ここを押さえないと、原価は必ずずれます。

たとえば、野菜の皮や芯を除く、肉のドリップや脂を落とす、加熱で水分が飛ぶ——こうした加工で、使える量(製品になる量)は仕入れた量より減ります。この「仕入れた量のうち、製品になる割合」が歩留まりです。
歩留まりを無視して、原料の仕入れ単価をそのまま原価にすると、材料費を安く見積もりすぎます。歩留まりが90%なら、実質の材料単価は約1.11倍(÷0.9)。80%なら1.25倍(÷0.8)にもなります。歩留まりが低い(ロスが多い)ほど、1個が背負う材料費は重くなる——ここが、食品加工の原価計算の一番の勘どころです。
そして原価は、材料費だけではありません。包装・資材費、仕込みの労務費、光熱費などの諸経費も、1個に乗せて初めて「本当の原価」になります。
食品加工の原価計算の考え方|3つの数字を1個に集約する
正しく1個の原価を出すために、押さえるべきは3つです。順に見ます。
① 歩留まりで、実質の材料費を出す
歩留まりを反映した実質材料費 = 材料費 ÷ 歩留まり率
歩留まり90%なら ÷0.9。使える分だけで割り戻すことで、本当の材料費が見えます。
② 1バッチの費用をまとめる
1回の仕込み(1バッチ)にかかる、実質材料費・包装資材費・労務費・諸経費を合計します。加工の手間(人件費)や光熱費まで入れるのがポイントです。
③ 製品数で割って、1個の原価にする
1個あたりの原価 = 1バッチの総費用 ÷ このバッチでできる製品数
こうして出した1個の原価を、売価で割れば原価率が、売価から引けば1個の利益が出ます。逆に「狙う原価率」から、利益の出る売価を逆算することもできます。
具体例で見てみましょう。 材料費が1バッチ10,000円、歩留まり80%なら実質材料費は10,000÷0.8=12,500円。ここに包装1,500円・労務2,000円・諸経費1,000円を足すと、1バッチ16,500円。これで100個できるなら、1個の原価は165円。売価400円(税抜)なら原価率は約41%、1個の利益は235円——という具合に、数字が一気に見えてきます。
食品加工の原価計算の手順|無料ツールで実際にやってみる
実際の手順を、ツールの構成に沿って見ていきます。

ステップ1:原材料費と歩留まりを入れる
商品名、原材料費、製品歩留まりを入力します。すると歩留まりを反映した実質材料費が自動計算されます。
ステップ2:その他の費用と製造数量を入れる
包装・資材費、労務費、諸経費(1バッチあたり)と、このバッチでできる製品数を入力します。
ステップ3:1個の原価・原価率・売価を確認する
1個あたりの原価・原価率が自動で出ます。売価(税抜)を入れれば利益が、狙う原価率を決めれば利益の出る売価が分かります。
原料費と歩留まりから、製品1個あたりの本当の原価と、利益の出る売価をその場で算出。どんな食品加工にも使える基本版です。結果はPDFで保存・印刷でき、値付けの根拠資料になります。スマホでも動き、入力した数字は端末内で計算され、外部には送信されません。
ここでつまずく|食品加工の原価計算でよくある3つの誤り

① 歩留まりを無視して、仕入れ単価のまま計算する
最も多い誤りです。皮・芯・水分・ロスを考えずに原料単価をそのまま使うと、材料費を安く見積もりすぎます。歩留まりで必ず割り戻しましょう。
② 加工の手間(労務費)や光熱費を入れない
「原料費=原価」と考えると、仕込みの人件費や加熱の光熱費が抜け落ちます。人と設備が動いた分は、原価です。
③ 原料が上がっても、原価と売価を見直さない
原料相場は動きます。仕入れが上がったのに原価を更新しないと、気づかないうちに原価率が悪化します。定期的に入れ直す習慣を持ちましょう。
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うちの業種なら、専用ツールがもっと便利
この記事のツールは「どんな食品加工にも使える基本版」ですが、業種によっては、その業種特有の計算に対応した専用ツールの方が使いやすいことがあります。自社に近いものがあれば、そちらもご覧ください。
- 焼酎・酒造:仕込み・割水・酒税まで通すなら焼酎の原価計算
- 食肉・食鳥:1頭・1ケースを部位別に按分するなら食肉・食鳥の部位別原価計算
- 惣菜・弁当:容器や廃棄ロスまで含めた実質原価なら惣菜・弁当の原価計算
- 飲食店:メニュー原価率とFLコストなら飲食店の原価計算
すべてのツールは原価計算ツール集にまとめています。原価が出せたら、損益分岐点 計算ツールや値上げシミュレーターと合わせて、値付けと黒字ラインの判断に使ってください。
全商品の原価を「自動」で管理したい食品事業者へ
ツールは1商品ずつ手で計算するものですが、実務では「原料相場が動くたびに、全商品の原価を一括で見直したい」という声をよくいただきます。ここから先は、御社専用のしくみづくりの領域です。
私たち株式会社multi-solutionは、宮崎の事業者向けに、業務に合わせたAI・デジタルツールの導入を伴走支援しています。食品加工であれば、たとえば次のようなことが可能です。
- 原料相場の変動を反映した全商品の原価表の自動更新
- 歩留まり実績の記録と、商品別の採算の見える化
- 商品台帳・発注・在庫データや、ラベル・規格書づくりとの連携
こうした導入には、補助金を活用できる場合があります(対象・条件は制度により異なります。申請手続きの専門的な支援は社労士・認定支援機関等の領域で、私たちは「何を・どう導入し、社内で使えるようにするか」の側を支援します)。
「自社の原価管理を、手計算からもう一歩進めたい」という宮崎の食品事業者の方は、まず無料相談で課題をお聞かせください。お問い合わせはこちら。
まとめ|食品加工の原価は「歩留まり」を織り込めば見える
この記事のポイントを整理します。
- 食品加工の原価計算は歩留まりが肝:加工で使える量が減るため、仕入れ単価のままだと材料費を安く見積もりすぎる
- 考え方は3つ:実質材料費=材料費÷歩留まり率/1バッチの費用をまとめる/製品数で割って1個の原価に
- 手順は3ステップ:原材料費と歩留まり→その他費用と製造数量→1個の原価・原価率・売価
- よくある誤り3つ:歩留まりを無視する/労務費・光熱費を入れない/原料が上がっても見直さない
- 業種特化ツールも活用:焼酎・食肉・惣菜・飲食店には専用記事とツールあり
まずは主力商品1つで構いません。食品加工 原価計算ツールに、原料費と歩留まりを入れてみてください。「1個の本当の原価」が見えると、値付けに自信が持てます。
執筆者
株式会社multi-solution | 宮崎の中小企業のデジタル化・AI活用を支援。原価計算をはじめとした無料の業務ツールの提供から、業務に合わせたツール導入、社内で使い続けられるようにするOJTまで、伴走型で支援しています。
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