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食肉・食鳥の部位別原価計算のやり方|「売価按分」と歩留まりで赤字部位をなくす【宮崎】
ツール

「もも肉は儲かっている。でも、皮やスジは?」——1頭、あるいは1ケースでまとめて仕入れた肉を部位ごとにさばいて売る。食肉・食鳥加工の商売は、この「1つの仕入れが、いくつもの商品に分かれる」ところに、原価計算の落とし穴があります。
宮崎は、宮崎牛・宮崎地鶏・ブロイラーと、全国有数の畜産地です。それだけに「部位ごとの本当の原価」を押さえられているかどうかが、利益に直結します。仕入れ値を製品の重さで均等に割っているだけだと、高く売れる部位の利益を、安い部位が食いつぶしているのに気づけません。
この記事では、食肉・食鳥の部位別原価計算のやり方を、実務で主流の「売価按分(あんぶん)」と「歩留まり」という2つの考え方を軸に解説します。あわせて、1ロットの仕入れを部位別の原価に自動で分ける無料のツールもご用意しました。電卓で頭を抱えず、数字を入れるだけで「どの部位が黒字か」が見えます。
※本記事の計算は考え方を示す目安です。歩留まりや相場は品目・時期で大きく変わります。重要な価格決定は自社の実測値でご確認ください。
なぜ部位別の原価計算は難しいのか|「1つの仕入れが複数商品になる」
精肉・食鳥加工の原価計算が独特なのは、1つの仕入れ(1頭・1ケース)が、もも・むね・皮・スジなど、複数の商品に分かれるからです。これを会計では「連産品(れんさんひん)」と呼びます。

ここで問題になるのが、「仕入れ値と加工コストを、どの部位にいくら背負わせるか」です。分け方を間違えると、原価はまったく実態と合わなくなります。よくあるのが次の2つの誤解です。
誤解①:重さで均等に割ればいい
40,700円の総原価を80kgで割って「全部位509円/kg」とすると、1kg2,000円で売れるももも、1kg300円の皮も、同じ509円の原価を背負います。すると皮は売った瞬間に赤字。でもそれは「皮が悪い」のではなく、分け方が乱暴なだけです。
誤解②:儲かっている部位だけ見ればいい
ももが黒字だからと安心していると、実は全体では利益が薄い、ということが起こります。1頭・1ケース全体で黒字かを見るには、すべての部位の原価を正しく分けて足し合わせる必要があります。
この2つを解決するのが、次の「売価按分」と「歩留まり」です。
カギは「売価按分」と「歩留まり」の2つ
部位別原価を正しく出すために、押さえるべき考え方は2つだけです。
① 売価按分(あんぶん)=高く売れる部位ほど、原価を多めに背負う
実務で主流の分け方です。総原価を、各部位の「予定売上の比率」で分けます。
各部位の原価 = 総原価 × (その部位の予定売上 ÷ 全部位の予定売上の合計)
たとえば「もも」が全体の売上の45%を占めるなら、総原価の45%を負担します。こうすると、すべての部位の原価率がそろい、皮のような安い部位が不当に赤字に見えることがなくなります。これが「実態に近い原価」です。
② 歩留まり=仕入れた量のうち、商品になる割合
歩留まり = 製品の合計重量 ÷ 仕入重量
骨・脂・ドリップなどのロスを除くと、仕入れた重さのうち商品になるのは一部です。歩留まりが分かると、「実質の材料単価」が見えます。歩留まりが低い(ロスが多い)ほど、残った商品が背負う原価は重くなります。
具体例で見てみましょう。 総原価(仕入+加工)が40,000円のロットから、「もも20kg(想定売価2,000円/kg=予定売上40,000円)」「むね20kg(1,000円/kg=20,000円)」「皮10kg(300円/kg=3,000円)」が取れたとします。予定売上の合計は63,000円。売価按分では、ももは40,000円×(40,000÷63,000)=約25,400円、皮は40,000円×(3,000÷63,000)=約1,900円の原価を背負います。すると皮の原価/kgは約190円で、300円で売れば黒字。重量按分(40,000円÷50kg=800円/kg)なら皮は800円原価で赤字に見えてしまいます。同じ皮が、分け方ひとつで黒字にも赤字にも見える——これが売価按分の効きどころです。
この2つを手で計算するのは大変ですが、ツールなら入力するだけです。
部位別原価計算の手順|無料ツールで実際にやってみる
実際の手順を、ツールの構成に沿って見ていきます。下のツールを開きながら、自社の1ロットで試すのがおすすめです。

ステップ1:仕入ロットを入れる
1頭・1ケースの仕入重量と仕入単価を入力します。「この1回の仕入れ」を単位にするのがポイントです。
ステップ2:加工コストを足す
カットの労務費、包装・資材費、冷凍・諸経費を足します。人がさばいた手間も原価です。ここを入れないと、原価は実態より軽く出ます。
ステップ3:部位別の取れ高と想定売価を入れる
もも・むね・皮など、部位ごとに「取れた重さ(kg)」と「想定売価(円/kg)」を入力します。これが売価按分の元になります。
ステップ4:自動で按分・診断される
入力すると、売価按分で各部位の原価・原価/kg・粗利/kg・原価率が自動計算されます。あわせて歩留まり(製品÷仕入)とロス量も表示され、どの部位が黒字で、どの部位が赤字かが一目で分かります。
売価按分(実務で主流)と重量按分(参考用)の両方に対応し、部位は自由に追加できます。結果はPDFで保存・印刷でき、価格の根拠資料になります。スマホでも動き、入力した数字は端末内で計算され、外部には送信されません。
ここでつまずく|部位別原価でよくある3つの誤り

① 重量按分だけで判断してしまう
重さで均等に割る「重量按分」は簡単ですが、安く売る部位(皮など)が赤字に見えやすく、大雑把です。普段の判断は売価按分で。重量按分は「重さだけで割るとどうなるか」を見る参考用と割り切りましょう。
② 加工の手間(労務費)を原価に入れない
仕入れ値だけを原価と考えると、カット・成形・包装にかかる人件費が抜け落ちます。手をかけた分は原価に乗せてこそ、正しい部位別採算が見えます。
③ 歩留まりを実測しない
歩留まりは、品目・個体・季節・職人の技術で変わります。「だいたいこのくらい」で固定すると、原価がずれます。ロット単位で実測する習慣を持つと、精度が一段上がります。
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原価が出せたら、次は「値付け」と「品揃えの見直し」
部位別の原価が見えると、打ち手が具体的になります。原価は判断の材料です。
- 赤字部位が見つかったら、値上げ・用途変更(加工品化)・セット販売などで採算を改善できます。値上げの是非は値上げシミュレーターで「何%お客が減っても値上げした方が得か」を試算できます。
- お店・工場全体で黒字に必要な売上を知りたいときは、損益分岐点 計算ツールが役立ちます。
部位別原価で「どこで儲け、どこで損しているか」を、損益分岐点で「全体で黒字に必要な売上」を、値上げシミュレーターで「価格改定の是非」を——この3つで、勘に頼らない値付けができます。ほかの業種向けも含めた一覧は原価計算ツール集にまとめています。
全部位・全商品の原価を「毎日・自動」で管理したい方へ
ツールは1ロットずつ手で計算するものですが、実務では「相場が動くたびに、全部位・全商品の原価を一括で見直したい」という声をよくいただきます。ここから先は、御社専用のしくみづくりの領域です。
私たち株式会社multi-solutionは、宮崎の事業者向けに、業務に合わせたAI・デジタルツールの導入を伴走支援しています。食肉・食鳥加工であれば、たとえば次のようなことが可能です。
- 相場変動を反映した部位別原価表の自動更新
- 歩留まり実績の記録と、ロット別・部位別の採算の見える化
- 商品台帳・受発注・在庫データとの連携
こうした導入には、補助金を活用できる場合があります(対象・条件は制度により異なります。申請手続きの専門的な支援は社労士・認定支援機関等の領域で、私たちは「何を・どう導入し、社内で使えるようにするか」の側を支援します)。
「自社の部位別採算を、手計算からもう一歩進めたい」という宮崎の食肉・食鳥加工の方は、まず無料相談で課題をお聞かせください。お問い合わせはこちら。
まとめ|部位別原価は「売価按分」と「歩留まり」で必ず出せる
この記事のポイントを整理します。
- 難しい理由は「1つの仕入れが複数商品になる」(連産品):分け方を誤ると原価が実態と合わない
- カギは2つ:売価按分(総原価×予定売上比率)で全部位の原価率をそろえる/歩留まり(製品÷仕入)で実質単価を見る
- 手順は4ステップ:仕入ロット→加工コスト→部位別の取れ高と想定売価→自動で按分・診断
- よくある誤り3つ:重量按分だけで判断/加工の労務費を入れない/歩留まりを実測しない
- 原価が出たら値付けと品揃えへ:損益分岐点・値上げシミュレーターと合わせて判断
まずは直近の1ロットで構いません。部位別 原価計算ツールに、取れ高と想定売価を入れてみてください。「どの部位で儲け、どこで損しているか」が数字で見えると、品揃えと値付けの景色が変わります。
執筆者
株式会社multi-solution | 宮崎の中小企業のデジタル化・AI活用を支援。原価計算をはじめとした無料の業務ツールの提供から、業務に合わせたツール導入、社内で使い続けられるようにするOJTまで、伴走型で支援しています。
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