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Claudeに定型業務を「覚えさせる」方法|一度教えたら一言で終わる仕組み化(Skills活用)の実録
AI活用

「AIは便利だけど、毎回同じ説明をするのが面倒」——生成AIを業務で使い始めた方から、よく聞く声です。議事録の作り方、報告書の型、経理の勘定科目のルール。AIに頼むたびに長い指示を打ち直していると、だんだん「自分でやったほうが早い」に戻ってしまいます。
弊社(宮崎市のITコンサルティング会社)は、ブログ記事の制作・投稿、領収書の読み取りと記帳、日々の記録の整理といった定型業務を、いまでは「次の記事を書いて」「領収書を取り込んで」といった一言でAIに任せています。可能にしているのが、AIのClaude(クロード)に業務の手順書を「覚えさせる」Skills(スキルズ)という機能です。
実は、これまで公開してきた実録記事——ブログを月30本書ける仕組み、領収書の自動記帳、Obsidianの「第二の脳」——の裏側には、すべてこのSkillsがあります。この記事はその共通の種明かしとして、Claude Skills活用の仕組み、弊社で実際に動いている「覚えさせた業務」、そして自社で最初の1つを作る手順を、実録として紹介します。
AI活用が続かない本当の理由は「毎回ゼロから指示していること」
生成AIの導入がうまくいかない会社の多くは、ツールのせいでも社員のせいでもなく、使い方が「毎回ゼロから」になっていることに原因があります。
- 頼むたびに、前提・手順・注意点を長々と説明し直している
- うまくいった指示文(プロンプト)を保存しておらず、再現できない
- 人によって指示がバラバラで、出てくる結果の質もバラバラ
- 結局「説明する時間がもったいない」と、AIを使わなくなる
この対策としてまず有効なのが、うまくいったプロンプトを保存して使い回す「プロンプトの再利用」です。弊社もかつては、役割や前提を書き込んだプロンプトをコピペして使っていました(この方法は「Claudeの役割プロンプト完全ガイド」で詳しく解説しています)。
ただ、コピペ運用には限界があります。保存場所を探す手間は残るし、複数の工程がある業務(例:原稿を書いて、チェックして、画像を作って、投稿する)は1本のプロンプトに収まりません。そこで次の段階が、プロンプトを「貼る」のではなく、AI側に手順書ごと持たせてしまう——つまりSkillsによる仕組み化です。
Claude Skillsとは:AIに持たせる「業務手順書」

Claude Skillsとは、ひとことで言えば「Claudeが参照できる業務手順書のファイル」です。米Anthropic(アンソロピック)社が2025年10月に発表した機能で、手順書・参考資料・必要ならスクリプト(処理プログラム)をひとつのフォルダにまとめておくと、Claudeが依頼内容に応じて関連する手順書を自動で読み込み、その手順どおりに作業してくれます。
新入社員への教育にたとえると分かりやすいと思います。
- 従来のプロンプト:作業を頼むたびに、口頭で最初から手順を説明する
- Skills:業務マニュアルを一度作って渡しておき、あとは「あの仕事お願い」と言うだけ
ポイントは、手順書が会話をまたいで残ることです。昨日の会話をAIが忘れても、手順書はファイルとして残っているので、明日も来月も同じ品質で同じ業務ができます。「教えたことが積み上がっていく」——これが、その場限りのチャットとの一番の違いです。
「毎回指示」「プロンプト集」との違い
段階を整理すると、AIへの指示の出し方には3つのレベルがあります。
| レベル | やり方 | 課題 |
|---|---|---|
| ①毎回指示 | 頼むたびに手順を説明する | 説明が長い・人によって質がバラつく |
| ②プロンプト再利用 | うまくいった指示文を保存してコピペ | 探して貼る手間・複数工程の業務に不向き |
| ③Skills(仕組み化) | 手順書をAI側に持たせる | 最初に手順書を作る手間だけ |
②までは「人がAIに合わせて頑張る」段階、③は「AIが会社の手順を覚えている」段階です。②の実践方法は前述の役割プロンプトの記事に譲り、本記事では③を扱います。
どこで使えるか(2026年7月時点)
SkillsはClaudeの有料プラン(Pro/Max/Team/Enterprise)のアプリ版のほか、開発者向けのClaude CodeやAPIでも利用できます。弊社の実録で使っているのは、パソコン上のファイル操作までAIに任せられるClaude Codeです。ブラウザ版のClaudeでも、資料作成の型などを覚えさせる使い方ができます(利用範囲や仕様は変更される場合があるため、最新は公式情報をご確認ください)。
実録:弊社がClaudeに「覚えさせた」定型業務

弊社ではこの数ヶ月で、繰り返し発生する業務を次々とSkills化してきました。代表的なものを、以前の姿と比べて紹介します。
| 業務 | 以前 | いま(覚えさせた後) |
|---|---|---|
| ブログ記事の制作・投稿 | 1本1〜2日かかり、1年以上更新停止 | 「次の記事を書いて」の一言で下書き投稿まで自動 |
| 領収書の読み取り・記帳 | 手入力で月60〜90分 | 「領収書を取り込んで」で月10〜20分に |
| 日々の記録・タスク整理 | メモが続かず頭の中だけ | 「Obsidianに反映して」の一言で自動整理 |
| 月次のアクセス解析レポート | 画面から手作業でデータ収集 | 「先月のレポートを作って」で取得から資料化まで |
ブログ:13工程の業務が「一言」になった
弊社のブログ記事は、構成案づくり→執筆→事実確認→SEOチェック→画像作成→投稿設定まで、細かく分けると13の工程があります。これを丸ごと手順書にしてClaudeに覚えさせた結果、月30本以上の更新を継続でき、検索流入は前年同月比で約20倍(2025年6月54セッション→2026年6月1,086セッション、GA4計測)になりました。人がやるのはテーマの承認と最終確認だけです。仕組みの全体像と費用は「ブログを書く時間がない社長へ|AIで月30本・検索流入20倍にした実録」で公開しています。
経理:判断ルールごと覚えさせる
領収書の読み取り・記帳のSkillsには、単なる操作手順だけでなく、「この店の支払いはこの勘定科目」「迷ったら人に確認する」といった判断ルールも書き込んであります。使うほどルールが追記され、精度が上がっていく——手順書が「育つ」感覚です。詳細は「領収書の山をAIに読ませて自動記帳した実録」で紹介しています。
記録:「Obsidianに反映して」の一言
日報・案件メモ・タスクの整理も、仕分けルールを手順書化してあるため、仕事の区切りに一言添えるだけで済みます。この仕組みは「Obsidian×Claudeで第二の脳を作った実録」で詳しく書きました。
そのほかの「覚えさせた」業務
上記のほかにも、月次のアクセス解析データの取得・レポート作成、顧問先向けの定例レポート、サイトの健康診断調査など、「毎月・毎週、同じ型で繰り返す業務」から順にSkills化を進めています。共通するのは、2回目以降の指示が「先月分をお願い」のような一言になることです。
つまり、当ブログの実録シリーズで紹介してきた自動化は、すべて「Skillsに手順書を覚えさせる」という同じ型の応用です。業務ごとに特別な開発をしているわけではありません。
費用はいくらかかっているか
この仕組み全体にかかっている費用も公開します。中心はClaudeの有料プラン(弊社はMaxプラン、月額100ドル≒約15,000円)で、ブログの画像生成など周辺費用を足しても月2万円以内に収まっています。Skillsという機能自体への追加料金はありません。「何十万円のシステム開発」ではなく、月数万円のAI利用料の範囲で、手順書を書いた分だけ業務が仕組み化されていく——これが実感に近い費用感です。
「覚えさせ方」実践:最初のスキルを作る3ステップ

では、自社で最初の1つを作るにはどうするか。弊社が実際にやってきた手順は、拍子抜けするほどシンプルです。
ステップ1:まず1回、Claudeと一緒に業務をやり切る
いきなり手順書を書き始める必要はありません。まず対象の業務を、Claudeに指示を出しながら普段どおり1回やり切ります。この過程で「何を渡すか」「どの順番でやるか」「何がNGか」が自然と言葉になります。
ステップ2:「今のやり方を手順書にして」と頼む
業務が終わったら、そのままClaudeに頼みます。
「今日のこの作業を、次から一言で頼めるように手順書(スキル)にまとめて」
手順書はプログラムではなく、日本語の文章です。しかも自分で書くのではなく、たった今一緒に作業したAI自身に書かせるので、抜け漏れが少なく、数分でできあがります。
ステップ3:一言で呼び出し、ズレたら手順書を直す
次からは「あの業務やって」の一言で動きます。結果が期待とズレたときが改善のチャンスで、「ここはこうして」と伝えて手順書に反映させれば、同じ間違いは繰り返されません。教えたことが積み上がり、業務の再現性が少しずつ上がっていきます。
手順書に入れておくと効くもの
弊社の経験では、手順書に次の3つを入れておくと安定します。
- 発動のきっかけ:「どんな依頼が来たらこの手順書を使うか」を明記する(例:「領収書」「記帳」と言われたら)
- 判断基準:迷いやすいポイントの判断ルール(例:金額が大きいものは人に確認)
- やってはいけないこと:禁止事項を手順書側に書いておく(例:弊社のブログ投稿の手順書は「公開は絶対にせず、必ず下書きで止める」と定めてあり、最終公開は人間だけが行います)
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効果:指示が「説明」から「一言」になると、何が変わるか
Skills化を進めて実感している変化は、時間の短縮だけではありません。
- 時間:ブログは1本1〜2日→社長の作業は1本10分程度に。記帳は月60〜90分→10〜20分(約8割減)。「AIに説明する時間」がほぼゼロになった効果が大きいです
- 品質が揃う:同じ手順書で動くため、いつ頼んでも同じ水準の結果が返ってきます。「今日はうまく指示できなかった」というムラが消えました
- 業務が属人化しない:手順書は日本語のマニュアルなので、そのまま社内の業務マニュアルとしても機能します。「あの人しかやり方を知らない」状態から、「手順書を読めば人でもAIでも再現できる」状態への転換です
とくに3つ目は、人手不足に悩む中小企業にとって本質的な変化だと感じています。AIに教えるつもりで業務を言語化すると、結果的に会社の暗黙知が文書として残るのです。
正直な注意点
- 最初の1回は時間がかかる:仕組み化は「初回に手間を先払いして、2回目以降を一言にする」投資です。年に1回しかない業務より、毎週・毎月繰り返す業務から始めるのが向いています
- 手順書が間違っていれば、毎回間違う:仕組み化は間違いも忠実に再現します。作った直後の数回は結果を必ず人が確認し、手順書を直してください
- 機密情報・パスワードは手順書に直接書かない:手順書はファイルとして残るからこそ、認証情報や顧客の機密を直書きしない設計が必要です。社内のAI利用ルールとあわせて整備することをおすすめします(雛形は「中小企業向けAI利用規程・社内ガイドライン雛形」で公開しています)
- 「任せきり」にはしない:弊社でも、お金の支払い・記事の公開・お客様への送信といった「取り返しのつかない操作」は、必ず人間が最終実行する設計にしています
よくある質問
Q. プログラミングの知識は必要ですか?
A. 手順書の本体は日本語の文章です。この記事のステップ2のように、Claude自身に書かせれば、非エンジニアでも作れます(弊社代表もエンジニアではありません)。ファイル操作やシステム連携まで自動化する段階では技術的な設定も出てきますが、それもClaudeに相談しながら進められます。
Q. 無料プランでも使えますか?
A. Skillsは有料プラン(Pro以上)の機能です(2026年7月時点)。ただ「うまくいった指示文を保存して使い回す」という考え方自体は無料プランでも実践でき、その方法は「Claudeの役割プロンプト完全ガイド」で紹介しています。
Q. ChatGPTでも同じことができますか?
A. ChatGPTにも「GPTs」など、指示をあらかじめ仕込んで再利用する仕組みがあり、考え方は共通です。パソコン内のファイル操作や複数工程の業務まで一言で任せる使い方は、弊社はClaude(Claude Code)で実現しています。両者の違いは「ChatGPTとClaudeの使い分け完全ガイド」も参考にしてください。
Q. どの業務から覚えさせるべきですか?
A. 「月1回以上繰り返す」「手順を口で説明できる」「間違えても致命傷にならない」の3つを満たす業務が最適です。弊社のお客様では、議事録の整形、報告書の下書き、問い合わせメールの返信案あたりから始める方が多いです。
まとめ:AIの導入から、AIの「仕組み化」へ
- AI活用が続かない主因は「毎回ゼロから指示」。プロンプトのコピペ再利用が第一歩、その先が手順書をAI側に持たせるClaude Skillsの活用
- Skillsは業務手順書のファイル。一度教えれば会話をまたいで残り、「次からは一言」になる
- 弊社のブログ月30本・検索流入約20倍、記帳時間約8割減の実録は、すべてこの同じ型の応用
- 作り方は「1回一緒にやる→手順書にさせる→ズレたら直す」の3ステップ。公開・支払いなど最後の一手は人間が握る
弊社では、こうした「一度教えたら一言で終わる」業務の仕組み化を、宮崎の中小企業の皆さまと一緒に進めています。どの業務から仕組み化できるかの見立てからで構いません。お気軽にご相談ください。
※本記事は2026年7月時点の自社運用の実録です。Skillsの仕様・提供範囲は変更される場合があります。数値は弊社の実測値であり、効果を保証するものではありません。
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