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【実録】領収書の山をAIに読ませてマネーフォワード クラウドに自動記帳|月90分の手入力が20分になった仕組みと費用を公開
AI活用

月末になると机に積まれる、領収書とレシートの山。1枚ずつ会計ソフトに手入力して、写真を撮って証憑(しょうひょう=取引の証拠書類)として添付する——。
弊社(宮崎市のITコンサルティング会社)では、この作業に毎月60〜90分かかっていました。それが今は、レシートを写真に撮ってAIに「取り込んで」と指示するだけ。月10〜20分で終わります。
読み取りから、勘定科目の候補判定、マネーフォワード クラウドへの記帳、証憑ファイルの添付まで、AIがまとめて処理します。専用のOCRソフト(文字読み取りソフト)は買っていません。使っているのは、普段の業務で使っているAI(Claude)だけです。
この記事では、実際の作業時間・仕組み・費用・AIが間違えるポイントまで、実録として公開します。「経理の入力作業を何とかしたい」中小企業・個人事業主の方の参考になれば幸いです。
※先にお断りです。本記事は入力・記録作業の効率化の話であり、税務上の判断(勘定科目や税区分の最終決定を含む)は税理士にご相談ください。
導入前:月末の「レシートの山」が地味に重かった
以前の毎月の流れはこうでした。
- 現金で払った経費のレシート・領収書が月20〜30枚たまる
- 月末にまとめて、1枚ずつ見ながらマネーフォワード クラウドへ手入力(1件あたり3〜5分)
- さらに電子帳簿保存法への対応として、レシートを撮影またはスキャンし、仕訳に1件ずつ添付
合計で月60〜90分。金額を打ち間違えていないか、日付は合っているか、と気を使う割に、1円も売上を生まない作業です。「もっと少ない時間で終わらせたい。でも月数千円のOCRソフトを契約するほどの量でもない」——この中途半端な規模感、心当たりのある方は多いのではないでしょうか。
導入後の実測値

| 項目 | 導入前 | 導入後(実測) |
|---|---|---|
| 処理枚数 | 月20〜30枚 | 同じ |
| 作業時間 | 月60〜90分 | 月10〜20分(約8割減) |
| 人がやること | 全件手入力+証憑添付 | 写真を撮って指示、最終確認のみ |
| 証憑の添付 | 1件ずつ手作業 | AIが自動で添付 |
浮いた時間は月1時間強と、数字だけ見れば小さく感じるかもしれません。ただ、月末の「気が重い作業」が消えたことによる心理的な効果は数字以上です。そして後述のとおり、この仕組みは顧問先の月次処理でも同じように動いています。
仕組み:写真を撮って「取り込んで」と言うだけ
全体の流れはシンプルです。

AIがやっていること
- 読み取り:レシートの写真・PDFから日付・金額・店名を読み取る
- 整理:ファイル名を「日付+店舗名」に揃えて保存する
- 勘定科目の候補判定:過去の仕訳実績をもとに「この店なら会議費」など候補を付ける
- 記帳:マネーフォワード クラウドへ仕訳を登録する
- 証憑の添付:元のレシート画像を各仕訳に添付する(電子帳簿保存法への対応)
人がやっていること
- レシートをスマホで撮影(またはスキャン)してフォルダに入れる
- AIに「取り込んで」と指示する
- AIが迷った仕訳(初めての店・判断が分かれる支出)だけ判断し、最後に一覧を確認する
ポイントは、勘定科目のルールを一度教えれば覚えていることです。「この店は毎回消耗品費」「この支出は会議費」といった自社の判断基準を仕組み側に蓄積してあるので、月を追うごとに人が迷う件数は減っていきます。
「自動」でも最終確認は必ず人がする
AIの読み取りや科目判定は完璧ではありません。弊社では登録前に必ず一覧で人が確認し、迷うものは自分で決める運用にしています。経理は「間違ったまま自動で積み上がる」ことが一番怖いので、ここは省きません。それでも合計時間が10〜20分で済むのは、「全件手入力」が「例外だけ判断」に変わったからです。
かかっている費用

この業務のための追加費用は、実質ゼロ円です。
弊社はブログ作成などの業務で、すでにAI(Claudeの有料プラン、月約15,000円)を使っています。領収書の取り込みはその同じAIにやらせているだけなので、経理のためだけの追加契約はありません。
| 選択肢 | 費用の目安 | 向いている量 |
|---|---|---|
| 手入力を続ける | 0円(ただし時間コスト) | 月10枚以下 |
| 経理用OCR・自動化ソフト | 月数千円〜 | 月100枚以上 |
| 普段のAIに任せる(弊社の方法) | 追加0円〜 | 月20〜100枚程度 |
「経理のためだけにソフトを増やすほどではない」規模の会社ほど、すでに使っているAIを経理にも使い回す、この方法が合うと感じています。AI導入のコストと効果の考え方は「AI導入の費用対効果(ROI)の考え方」で詳しく解説しています。
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AIが間違える・迷うポイントも正直に書きます
実運用で見えてきた、AIに任せきりにできない部分です。
- 初めての店・用途が曖昧な支出:同じ店でも「打ち合わせなら会議費、差し入れなら福利厚生費」のような文脈は、レシートからは分かりません。人が決めるべき部分です
- 軽減税率(8%と10%の混在):食品を含むレシートは税区分の確認が必要です。読み取り結果を鵜呑みにせず、区分が正しいかを確認しています
- かすれた・折れたレシート:読み取り精度が落ちるので、金額と日付は人の目で照合します
- 税務上の判断はAIの仕事ではない:家事按分や資産計上のような判断は、AIの回答を参考程度にとどめ、税理士に確認するのが安全です
つまりAIが代わるのは「転記・整理・添付」という作業の部分で、「この経費をどう扱うか」という判断は人と専門家の仕事、という線引きです。
顧問先の月次処理でも同じ仕組みが動いています
この仕組みは自社だけの実験ではありません。宮崎県内の顧問先企業(法人)の毎月の現金経費の取り込みでも、同じ方法で運用しています。毎月、領収書のスキャンデータと経費明細を受け取り、AIが照合・記帳し、人が確認する流れです。経費明細と領収書の突き合わせ(もれ・重複のチェック)もAIが行うため、手作業時代より確認の質はむしろ上がっています。
※守秘義務のため社名は伏せています。
自社で小さく始めるなら:3ステップ
- まず1ヶ月分、AIに読ませてみる:ChatGPTやClaudeにレシート画像を渡し「日付・店名・金額・勘定科目の候補を表にして」と頼む。読み取り精度を体感する
- 自社のルールを書き出す:「この店は消耗品費」「1万円以上は要確認」など、いつも頭の中でやっている判断を文字にする。これがAIへの「業務マニュアル」になります
- 会計ソフトとの連携は段階的に:最初はAIが作った表を見ながら手入力でもOK。転記ミスがなくなるだけでも効果があります。慣れたら自動記帳まで広げる
なお、レシート画像には店名や購入内容が含まれます。AIに渡す際は、入力内容が学習に使われないプラン・設定を使うことをおすすめします(詳しくは「中小企業のAIセキュリティ完全ガイド」へ)。
よくある質問
Q. 会計ソフトはマネーフォワードでないとダメですか?
A. 弊社はマネーフォワード クラウド公認メンバーとしてMFで運用していますが、「AIで読み取り→表に整理→会計ソフトへ」という流れ自体は他のクラウド会計ソフトでも応用できます。
Q. インボイス(適格請求書)の確認はどうしていますか?
A. 登録番号の有無も読み取りの確認項目に入れています。ただし税区分の最終確認は人が行い、判断に迷うものは税理士に確認しています。
Q. 請求書や銀行明細にも使えますか?
A. 考え方は同じです。弊社では紙の請求書の読み取りにも使っています。銀行・カード明細はマネーフォワード クラウド自体の連携取得が便利なので、AIは「連携でカバーできない紙の書類」の担当です。
Q. 経理をまるごとAIに任せられますか?
A. 任せられるのは入力・整理などの作業部分です。仕訳の最終確認は人、税務判断は税理士という役割分担が前提です。経理業務全体でのAI活用は「クラウド会計×AIで経理業務を半分にする完全ガイド」にまとめています。
まとめ:レシートの山は「撮って、指示して、確認する」だけになる
- 月20〜30枚の領収書処理が、手入力の月60〜90分→AI活用で月10〜20分(2026年7月時点・自社実測)
- AIが読み取り・科目候補・記帳・証憑添付(電子帳簿保存法対応)まで実行、人は例外判断と最終確認だけ
- 専用ソフトなし。普段使っているAIの範囲内なので追加費用は実質ゼロ
- AIが代わるのは「作業」。経費の扱いの判断は人と税理士——この線引きが安全に使うコツ
- 同じ仕組みが顧問先の月次処理でも稼働中
弊社では、こうした「AIに実務をさせる仕組みづくり」の導入支援を行っています。自社の経理・事務作業に当てはめられるか知りたい方は、お気軽にご相談ください。
※本記事の数値は自社実測値(2026年7月時点)です。効果を保証するものではありません。税務上の取り扱いは税理士等の専門家にご確認ください。
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