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生成AIと著作権|中小企業が商用利用で注意すべき5つのポイント【2026】

AI活用

生成AIと著作権、中小企業が商用利用で注意すべきポイント2026を示すアイキャッチ画像。ノートパソコンを前に著作権について考えるイラスト調の経営者と、①侵害になる条件②AI生成物の権利③社内ルール化の3項目を表示

ChatGPTで作った文章を、会社のホームページにそのまま載せていいのだろうか」「AIで作った画像をチラシに使ったら、誰かの著作権を侵害しないだろうか」――生成AIを仕事に使い始めた宮崎の経営者から、こうした質問が増えています。

結論からいうと、生成AIを業務で使うこと自体は問題なく、生成物の商用利用も基本的には可能と考えられています。ただし、使い方によっては著作権侵害となる場合があり、その判断基準は文化庁の公式資料である程度整理されています。「よく分からないから使わない」のも、「みんな使っているから大丈夫」と考えるのも、どちらももったいない状態です。

この記事では、生成AIと著作権の論点について、①どこで著作権が問題になるのか ②侵害になる条件 ③AIが作ったものに著作権はあるのか ④商用利用で注意すべき5つの場面 ⑤中小企業が今日からできる社内対策を、文化庁の一次情報をもとに、法律の専門家でなくても分かる言葉で整理します。

なお、この記事は法的助言ではなく、一般的な情報提供です。個別の判断が必要な場面では、必ず弁護士等の専門家にご相談ください。

生成AIと著作権、どこで問題になるのか——「学習」と「生成・利用」の2つの段階

生成AIと著作権が問題になる2つの段階の図解。開発・学習段階は原則許諾なく学習できる(著作権法30条の4・例外あり)、生成・利用段階は人間の創作と同じ基準で判断される

生成AIと著作権の関係は、文化庁の文化審議会著作権分科会法制度小委員会が2024年3月に公表した「AIと著作権に関する考え方について」で、大きく2つの段階に分けて整理されています。

1つ目は「開発・学習段階」。AIを作る側が、大量の文章や画像を学習させる場面です。日本の著作権法には第30条の4という規定があり、作品を鑑賞して楽しむ(享受する)目的ではない情報解析のための利用は、原則として権利者の許諾なく行えるとされています。ただし「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」は対象外という条件(ただし書き)が付いています。

2つ目は「生成・利用段階」。私たち利用者がAIに指示を出して文章や画像を作り、それをホームページやチラシに使う場面です。中小企業の経営者に直接関係するのはこちらで、この段階の著作権侵害は、AIを使わずに人間が創作した場合と同じ基準で判断されるとされています。

つまり「AIが作ったから特別扱い」はありません。人間が書いた文章でも他人の作品の丸写しはアウトであるように、AIが作った文章・画像でも、既存の作品に似すぎていれば問題になり得る——これが基本の考え方です。

著作権侵害になる条件は「類似性」と「依拠性」の2つ

著作権侵害の判断基準の図解。類似性(既存の作品の表現上の本質的な特徴を感じ取れる)と依拠性(既存の作品をもとに作ったといえる)の両方がそろうと著作権侵害のおそれ。アイデアや作風だけなら保護の対象外

では、どんな場合に著作権侵害となるのか。判例上、「類似性」と「依拠性」の両方が認められた場合に著作権侵害となるとされており、AI生成物にも同じ枠組みが当てはまるというのが文化庁資料の整理です。

類似性——既存の作品の「表現上の本質的な特徴」を感じ取れるか

類似性とは、生成物から既存の著作物の「表現上の本質的な特徴を直接感得できる」ことをいいます。ここで大事なのは、著作権が保護するのは具体的な「表現」であって、アイデアや作風・画風そのものではないという点です。たとえば「水彩画風のやわらかいタッチで描く」こと自体は表現ではなくアイデアの領域と考えられており、それだけでは侵害とはなりません。一方、特定の作品の構図・キャラクター・文章表現がそのまま再現されているような場合は、類似性が認められやすくなります。

依拠性——既存の作品を「もとにした」といえるか

依拠性とは、既存の著作物をもとに作ったといえることです。文化庁資料では、AI利用の場面を3つに分けて整理しています。

  • ①利用者が既存の作品を知っていて、それに似たものを作らせた場合:既存の画像をAIに入力して似た画像を作る(いわゆるImage to Image)、特定の作品名やキャラクター名をプロンプトに入力する、といった場合は依拠性が認められ、利用者による著作権侵害が成立し得るとされています
  • ②利用者は知らなかったが、AIがその作品を学習していた場合:この場合も通常、依拠性があったと推認され得るとされています。「知らなかった」だけでは安全とは言い切れないのです
  • ③利用者も知らず、AIも学習していなかった場合:偶然の一致にすぎないものとして、依拠性は認められず著作権侵害は成立しないと考えられています

侵害となった場合に問われる責任

万一侵害が認められた場合、権利者からは利用の差止め(こちらは故意・過失がなくても請求され得ます)や、故意・過失がある場合の損害賠償請求の対象となり得ます。故意による侵害には刑事罰の適用もあり得ます。「知らずにやった」場合は責任が軽くなる方向に働きますが、公開の停止や作り直しのコストは避けられないため、後述する事前チェックが重要になります。

AIが作ったものに、自社の著作権は発生するのか

もう1つ、商用利用で見落とされがちなのが「AIで作ったものは、自社の著作物として守れるのか」という逆方向の論点です。

文化庁資料では、AIは法的な人格を持たないためAI自身が著作者になることはないとした上で、AI生成物に著作権(著作物性)が認められるかは、人間の「創作的寄与」があるかどうかで個別に判断されると整理されています。プロンプトでの指示が「表現に至らないアイデアにとどまる場合」は、著作物性は認められないと考えられています。

実務的にいえば、「ロゴを作って」と一言指示して出てきた画像をそのまま使った場合、それを他社が真似しても著作権では止められない可能性があるということです。会社の顔になるロゴやキャラクターをAIだけで作るのは、権利を守る観点からもおすすめできません。人間による構成・加筆・編集をしっかり加えるか、重要なものはデザイナーに依頼する判断が現実的です。

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商用利用で特に注意すべき5つの場面

ここまでの整理を踏まえて、中小企業の実務で注意が必要な場面を5つ挙げます。

①特定の作品名・作家名・キャラクター名をプロンプトに入れる

「○○(有名キャラクター)風のイラスト」「作家○○のタッチで」といった指示は、依拠性が認められる方向に働きます。生成物が似てしまえば侵害リスクが一気に高まるため、商用利用の前提では避けるのが安全です。

②他人の文章・画像をそのままAIに入力して「似たもの」を作る

既存のチラシやイラストをAIに読み込ませて「これと同じ感じで」と作らせる行為は、入力の時点でも出力の時点でも問題になり得ます。文化庁資料でも、入力した著作物に似た生成物を作る目的での入力には第30条の4は適用されないと考えられています。参考にするなら、具体的な表現ではなく「構成の考え方」を言葉で伝える形にしましょう。

③生成物を確認せずロゴ・キャラクター・看板に使う

拡散力が大きく、長く使うものほど、侵害が発覚したときの痛手が大きくなります。SNSの1投稿と、店舗の看板や商品パッケージでは、同じ「うっかり」でも影響がまったく違います。重要な用途ほど、既存作品と似ていないかの確認(画像検索等)と人間の手直しを重ねることが大切です。

④利用しているAIサービスの規約を確認していない

著作権法とは別に、各AIサービスの利用規約という論点があります。たとえばChatGPTを含む主要な生成AIサービスの多くは、規約上、生成物(アウトプット)に関する権利を利用者側に認め、商用利用も可能な設計になっていますが、プランや利用方法によって条件が異なる場合があり、規約は随時更新されます。商用利用の前に、必ず利用中のサービスの最新規約を確認してください。画像生成をチラシやSNS販促に使う具体的な手順は中小企業が画像生成AIでチラシ・SNS画像を内製する実践ガイドでも解説しています。

⑤フォント・写真素材など「AI以外の権利」が混ざる

制作物にはAI生成物だけでなく、フォント、写真素材、地図、他社ロゴなどが混在します。AIの著作権だけをクリアしても、素材のライセンス違反で問題になるケースは従来からあります。制作物全体で「使っていい素材か」を確認する習慣をセットにしましょう。

中小企業が今日からできる社内対策——「禁止」ではなく「ルール化」

商用利用前の社内チェック4つの対策の図解。①プロンプトのNGルール(作家名・作品名を入れない)②用途別の確認フロー③制作の記録を残す④社内ルールとして文書化、の流れを矢印でつないだフロー図

著作権が怖いからと生成AIを全面禁止にするのは、業務効率の面で大きな機会損失です。実際、文化庁も2024年7月に「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」というAI利用者向けの実務資料を公表しており、正しく使うための道具立ては公的に揃ってきています。中小企業が押さえるべき対策は次の4つです。

  • ①プロンプトのNGルールを決める:「特定の作家名・作品名・キャラクター名を入れない」「他人の著作物をそのまま入力して似たものを作らせない」の2つだけでも、リスクの大部分を避けられます
  • ②用途に応じた確認フローを作る:社内資料はそのままOK、社外公開物は上長確認、ロゴ・商品名など長期利用物は専門家確認——のように、影響度で確認の重さを変えます
  • ③制作の記録を残す:どのツールで、どんなプロンプトで、どう手直しして作ったかの記録は、万一問い合わせを受けたときに自社を守る材料になります
  • ④社内ルールとして文書化する:個人の注意任せにせず、会社のルールにします。雛形は中小企業向けAI利用規程・社内ガイドライン雛形をそのまま使えます。あわせて、入力情報の管理は中小企業のAIセキュリティ完全ガイドで解説しています

なお、2026年7月時点で、生成AIを理由とした著作権法そのものの改正は行われていません。2025年にはAIの研究開発・活用の推進を目的とした「AI推進法」が施行されましたが、著作権の判断基準は引き続き、既存の著作権法と文化庁資料の解釈整理がベースです。一方で、文化庁は相談事例への回答などの形で解釈の明確化を続けており、「今のルールを正しく知って運用する」ことがそのまま最善の対策になります。最新動向は文化庁の「AIと著作権について」のページで確認できます。

まとめ:正しく恐れて、堂々と使う

生成AIと著作権の関係を整理すると、次のとおりです。

  • 生成AIの商用利用は基本的に可能。「AIだから違法」ということはない
  • 著作権侵害になるのは「類似性」と「依拠性」の両方が認められる場合。特定の作品に似せる使い方をしなければ、リスクは大きく下げられる
  • AI任せで作ったものは自社の著作物として守れない可能性がある。重要な制作物ほど人間の創作を加える
  • プロンプトのNGルールと確認フローを社内ルール化すれば、中小企業でも十分に管理できる
  • 判断に迷う個別案件は、弁護士・弁理士など専門家に相談する

著作権のルールは「AIを使わせないための壁」ではなく、「安心して使うための地図」です。正しく恐れて、堂々と活用していきましょう。

株式会社multi-solutionでは、宮崎の中小企業さま向けに、生成AIの導入支援やAI活用研修を行っています。社内ルールの整備を含めて、「うちの場合はどう使えばいいのか」を無料相談で一緒に整理できますので、お気軽にご相談ください。

※本記事は2026年7月時点の公表資料に基づく一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の事案については弁護士等の専門家にご確認ください。


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