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AIで就業規則・社内規程を作る方法|中小企業がたたき台を高速作成【2026】

AI活用

AIで就業規則・社内規程を作る方法の解説記事アイキャッチ。就業規則をAIで作る、たたき台を高速作成。①たたき台は数時間で②厚労省モデル規則を土台に③最終確認は社労士へ。ノートパソコンと就業規則の書類を手にした中小企業経営者のイラスト。

「就業規則を作らないといけないのは分かっている。でも、何から手をつければいいのか分からない」「社労士さんに頼む前に、自社の考えを整理しておきたい」——従業員が増えてきた宮崎の中小企業から、よく伺うお悩みです。

実はこの「最初の一歩が重い」という問題こそ、生成AI(ChatGPT・Claudeなど)が得意とする領域です。厚生労働省が公開しているモデル就業規則を土台に、自社の働き方・休日・賃金の考え方をAIに伝えて対話しながら整えていくと、後回しになりがちだったたたき台づくりが数時間程度で進められます

ただし、先にはっきりお伝えします。AIで作れるのは「たたき台」までです。就業規則の作成代行や労働基準監督署への届出手続きを報酬を得て業として行えるのは、社会保険労務士(社労士)だけと法律で定められています。また、内容が法令に適合しているか、自社の実態に合っているかの最終確認は、必ず専門家である社労士に依頼してください。

この記事では、この線引きを守ったうえで、①就業規則の基本ルール②AIでたたき台を作る5ステップとプロンプト例③就業規則以外の社内規程への横展開④注意点——を、宮崎の中小企業の目線で解説します。


AIで就業規則は作れる?結論:「たたき台まで」なら強力な味方

AIで就業規則はどこまで作れるかを図解したインフォグラフィック。AIにできることはたたき台の作成・条文の解説・既存書類との矛盾チェック・論点整理。できないことは法令適合性の最終判断・届出の代行・自社の実態に合うかの判断。

最初に、AIにできること・できないことを整理します。ここを誤解すると、コンプライアンス上のリスクになりかねません。

AIにできること(たたき台づくり)

  • モデル就業規則をベースにした下書きの作成:自社の勤務時間・休日・手当の方針を伝えると、条文の形に整えてくれます
  • 条文の意味の解説:「この条文は何のためにあるのか」を平易な言葉で説明してくれます
  • 自社の現状との矛盾チェック:雇用契約書や労働条件通知書を読み込ませて、内容のずれを洗い出せます
  • 社内で議論するための論点整理:「うちは副業を認めるか」「慶弔休暇は何日にするか」など、決めるべき項目のリストアップ

AIにできないこと・してはいけないこと

  • 法令適合性の最終判断:AIは古い法令や存在しない条文をもっともらしく書くことがあります。最終確認は人間の専門家の仕事です
  • 労働基準監督署への届出手続き:就業規則の作成・届出書類の作成を報酬を得て業として代行できるのは、社会保険労務士法により社労士だけです。社労士資格のない外部業者への「作成代行」依頼は避けてください
  • 自社の実態に合うかの判断:規則は作って終わりではなく、日々の労務管理で運用されるものです。実態に合わない規則はトラブルの元になります

なお、自社の就業規則を自社で作ること自体は、法律上まったく問題ありません。AIはあくまで「自社で作る」作業を助ける道具、という位置づけです。そのうえで、仕上げの確認を社労士に依頼する——これが中小企業にとって現実的で安全な進め方です。


3分でわかる就業規則の基本ルール

AIに指示を出す前に、就業規則の基本を押さえておきましょう。前提を知っているかどうかで、AIへの指示の質が大きく変わります。

従業員10人以上なら作成・届出が義務

労働基準法第89条により、常時10人以上の労働者を使用する事業場は、就業規則を作成して労働基準監督署に届け出る義務があります。パート・アルバイトも人数に含まれます。10人未満の会社に作成義務はありませんが、労務トラブルの予防や採用時の安心材料として、作っておく価値は十分にあります。

必ず書かなければいけない項目がある

就業規則には、必ず記載しなければならない「絶対的必要記載事項」があります。

  • 労働時間関係:始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、交替制の場合の就業時転換に関する事項
  • 賃金関係:賃金の決定・計算・支払いの方法、締切りと支払いの時期、昇給に関する事項
  • 退職関係:退職に関する事項(解雇の事由を含む)

このほか、退職手当・賞与・安全衛生・表彰や制裁などの制度を設ける場合には、記載が必要になる「相対的必要記載事項」があります。

作ったあとの手続きもセットで覚える

  • 意見聴取:作成・変更の際は、労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は労働者の過半数代表者)の意見を聴き、意見書を添付します(労働基準法第90条)
  • 届出:常時10人以上の事業場は労働基準監督署へ届け出ます
  • 周知:作った規則は、掲示・備え付け・データ共有などの方法で従業員に周知する義務があります(労働基準法第106条)

土台には厚労省の「モデル就業規則」を使う

ゼロから書く必要はありません。厚生労働省がモデル就業規則(2026年7月時点の最新版は令和7年12月版)をWord・PDF形式で無料公開しており、規程例と解説がセットになっています。AIでたたき台を作るときも、この公式のひな形を土台にするのが、正確性の面でも効率の面でも近道です。最新版は厚生労働省のモデル就業規則ページからダウンロードできます。


AIで就業規則のたたき台を作る5ステップ

AIで就業規則のたたき台を作る5ステップの図解。材料を集める、AIに自社の前提を伝える、章ごとに条文化、既存書類と矛盾チェック、社労士の確認から届出・周知への流れ。

ここからが本題です。実際の手順を、プロンプト例つきで見ていきましょう。ChatGPT・Claudeのどちらでも進められます。

ステップ1:材料を集める

AIの出力の質は、渡す材料で決まります。最低限、次の3つを手元に用意してください。

  • 厚労省のモデル就業規則(前述の公式ページからダウンロード)
  • 現在の雇用契約書・労働条件通知書(実際の労働条件が分かるもの)
  • 自社の働き方のメモ(営業時間、休日、残業の実態、手当の種類など)

ステップ2:AIに自社の前提を伝える

いきなり「就業規則を作って」と頼むのではなく、まず会社の前提情報を伝えます。

あなたは中小企業の労務管理に詳しいアシスタントです。
これから厚生労働省のモデル就業規則をベースに、当社の就業規則の
たたき台を作ります。まず当社の前提を共有します。

・業種:食品製造業(宮崎県)
・従業員数:15名(正社員10名、パート5名)
・所定労働時間:8:00〜17:00(休憩60分)
・休日:日曜、祝日、第2・第4土曜、年末年始
・賃金:月給制(毎月末日締め、翌月25日払い)
・現在、就業規則はなし

この前提で、モデル就業規則の章立てに沿って、決めるべき項目を
リストアップしてください。まだ条文は書かないでください。

ポイントは最後の一文です。先に「決めるべき項目」を出させることで、社内で議論すべき論点(副業の扱い、慶弔休暇の日数、定年の年齢など)が明確になります。

ステップ3:章ごとに条文のたたき台を作る

論点への自社の方針が固まったら、章ごとに条文化していきます。全部を一度に作らせると精度が下がるため、「労働時間」「休日・休暇」「賃金」など章単位で区切るのがコツです。

「労働時間・休憩・休日」の章のたたき台を作ってください。

・モデル就業規則の該当条文をベースにすること
・先ほど伝えた当社の前提(8:00〜17:00、休憩60分、
 日曜・祝日・第2第4土曜・年末年始休み)を反映すること
・各条文の後に、中小企業が注意すべきポイントを
 【解説】として付けること

【解説】を付けさせるのがおすすめです。条文の意味を理解しながら進められるので、あとで社労士と話すときに「なぜこの規定にしたのか」を自分の言葉で説明できるようになります。

ステップ4:既存書類との矛盾をチェックさせる

たたき台ができたら、雇用契約書や労働条件通知書と突き合わせます。ClaudeならPDFをそのまま読み込ませて、「この雇用契約書と、作成中の就業規則の間に矛盾がないか確認してください」と依頼できます。休日の日数や手当の名称など、意外なずれが見つかることが多い工程です。長い資料の読み込ませ方はClaudeでPDF・長文資料を要約する方法で詳しく解説しています。

なお、実在の従業員の氏名や個人情報は入力しないでください。チェックに必要なのは「条件」であって「個人」ではありません。固有名詞は伏せ字にしてから読み込ませるのが原則です。

ステップ5:社労士の最終確認→意見聴取→届出→周知

たたき台が仕上がったら、必ず社労士に内容の確認を依頼してください。法改正への対応、自社の実態との整合、リスクの高い条文の見直しは、専門家でなければ判断できません。たたき台があることで、社労士との打ち合わせも「ゼロから説明する」のではなく「これを直してもらう」形になり、やり取りが格段にスムーズになります。

社労士の確認を経たら、従業員の過半数代表者からの意見聴取、労働基準監督署への届出(10人以上の場合)、社内への周知——という正式な手続きに進みます。


就業規則だけじゃない。社内規程もAIでたたき台を作れる

同じ進め方は、就業規則以外の社内規程・社内ルールにも横展開できます。むしろ、届出義務のない社内規程のほうが、AIとの相性はさらに良いといえます。

  • 経費精算規程:精算の締め日、上限額、領収書のルールなど。経理の「人によって言うことが違う」を解消
  • 出張旅費規程:日当・宿泊費の基準を明文化。税務調査でも説明しやすくなります
  • 在宅勤務(テレワーク)規程:対象者、費用負担、労働時間の管理方法
  • 慶弔見舞金規程:結婚・出産・弔事の金額基準を統一
  • 車両管理規程:社用車の使用ルール、事故時の対応
  • ハラスメント防止規程:相談窓口と対応手順の明文化

進め方は就業規則と同じです。「規程の目的と自社の実態を伝える→決めるべき項目を出させる→条文化→【解説】付きで理解しながら磨く」。1つ作ると要領がつかめるので、2つ目からはさらに速くなります。

なお、生成AIそのものの社内利用ルール(AI利用規程)については、コピーしてそのまま使えるひな形全文を中小企業向けAI利用規程・社内ガイドライン雛形で公開しています。本記事の方法で労務系の規程を整えるのとあわせて、AIを安全に使うためのルールも整備しておくと安心です。


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AIで規程を作るときの注意点5つ

AIで規程を作るときの注意点5つの図解。出力を鵜呑みにしない、最新の法改正を確認する、不利益変更は特に慎重に、個人情報を入力しない、作って終わりにしない。

便利な一方で、押さえておくべき注意点があります。ここを飛ばすと、せっかくの規程が逆にリスクになります。

  1. AIの出力を鵜呑みにしない:生成AIは、古い制度や存在しない条文を、もっともらしい文章で出力することがあります。「モデル就業規則の何条がベースか」を必ず示させ、原本と突き合わせてください。
  2. 最新の法改正はAIの知識にないことがある:AIの学習データは最新とは限りません。育児・介護休業法など改正の多い分野は、厚労省の公式ページで最新情報を確認し、最終的には社労士のチェックで担保します。
  3. 従業員に不利になる変更は特に慎重に:すでに就業規則がある会社が内容を従業員に不利な方向へ変更する場合、原則として合理的な理由と適切な手続きが必要とされています。この判断はAIには任せられません。必ず社労士に相談してください。
  4. 個人情報・機密情報を入力しない:従業員の氏名・給与額などの個人情報は入力しないのが原則です。学習に使われない法人向けプランの利用や、入力ルールの整備(前述のAI利用規程)とセットで進めましょう。
  5. 「作って終わり」にしない:意見聴取・届出・周知までやって初めて効力のある規則になります。また、法改正や会社の変化にあわせた定期的な見直し(年1回程度)も忘れずに。

宮崎の中小企業がAIを業務に活かすなら

私たち株式会社multi-solutionは、宮崎を拠点に中小企業のAI活用を支援しています。

本記事のテーマでいえば、私たちがお手伝いできるのは「AIをどう業務に組み込むか」の側です。規程のたたき台づくりのようなAIの実践的な使い方、社内へのAI導入ルールの整備、社員向けのAI研修——このあたりが私たちの領域です。一方、就業規則の中身の適法性チェックや届出は社労士の領域なので、それぞれの専門家に頼るのが安全で確実です。

「規程づくりに限らず、うちの業務のどこにAIが使えるのか知りたい」という段階のご相談も歓迎です。毎月の定例相談でAI活用を伴走するAI顧問契約という選択肢もご用意しています。まずはお問い合わせページからお気軽にご連絡ください。


よくある質問(FAQ)

Q1. AIだけで就業規則を完成させて、そのまま届け出てもよいですか?

A. おすすめしません。AIの出力には法令の誤りが混ざる可能性があり、自社の実態に合っているかの判断も必要です。AIで作るのは「たたき台まで」とし、最終確認は社労士に依頼してください。届出書類の作成・提出の代行を業として行えるのは社労士だけです。

Q2. 従業員が10人未満でも就業規則は作ったほうがよいですか?

A. 作成義務はありませんが、作っておく価値はあります。労働条件のルールが明文化されていると、労務トラブルの予防になり、採用時の安心材料にもなります。義務のない規模のうちにAIでたたき台を作り、余裕を持って整備しておく進め方はおすすめです。

Q3. ChatGPTとClaude、就業規則のたたき台づくりにはどちらが向いていますか?

A. どちらでも進められます。雇用契約書や現行規程のPDFを読み込ませて矛盾チェックをする工程まで含めるなら、長文資料の読解に強いClaudeが使いやすいと感じています。お使いのツールで問題ありません。

Q4. 社労士に頼まず、AIを使って完全に自社だけで作るのは違法ですか?

A. 自社の就業規則を自社で作成し、自社で届け出ること自体は適法です。違法になり得るのは、社労士資格のない外部業者が報酬を得て作成や届出を代行するケースです。ただし適法であっても、法令適合性の確認は専門知識が必要なため、社労士のチェックを受けることを強くおすすめします。

Q5. 就業規則のたたき台づくりには、どれくらい時間がかかりますか?

A. 材料(モデル就業規則・雇用契約書・自社の働き方のメモ)が揃っていれば、AIとの対話でたたき台を作る作業自体は数時間程度が目安です。ただし、副業の扱いや休暇の日数など「自社の方針を決める」時間と、社労士の確認・意見聴取・届出の期間は別途必要です。


まとめ:AIは「たたき台まで」、仕上げは社労士と

最後に、この記事の要点です。

  • 生成AIは就業規則・社内規程のたたき台づくりを数時間程度まで高速化できる。ただし作れるのはたたき台まで
  • 土台には厚労省のモデル就業規則(無料公開)を使う。従業員10人以上なら作成・届出が義務
  • 手順は5ステップ:材料集め→前提共有→章ごとに条文化→既存書類と矛盾チェック→社労士の最終確認と正式手続き
  • 経費精算規程・在宅勤務規程など社内規程にも同じ方法で横展開できる
  • 就業規則の作成・届出の代行を業として行えるのは社労士だけ。AIの出力の鵜呑み・個人情報の入力・作って終わり、の3つは避ける

規程づくりは「重い宿題」ではなく、AIを使えば「数時間で最初の一歩が踏み出せる仕事」に変わりました。たたき台を自社で作り、仕上げを社労士に託す。この役割分担で、コストを抑えながら安心できる労務の土台を整えてください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。就業規則の作成・届出に関する具体的な判断は、社会保険労務士等の専門家にご相談ください。

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