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【実録】バラバラなExcel・日報をAIで一気に集計|フォーマット不揃いでも名寄せ・クロス集計する方法
AI活用

担当者ごとに形式の違うエクセル(Excel)、手書きに近い日報、氏名の書き方すらバラバラ——。集計そのものより、集計できる形にデータを整理する作業に時間を奪われていないでしょうか。列の順番を直し、表記ゆれを直し、コピペで1枚にまとめる。月末のたびに半日が消える、あの作業です。
弊社(宮崎市のITコンサルティング会社)は先日、まさにそういう状態の日報約20件を、AI(Claude)を使って案件別×担当者別のクロス集計表に仕上げる実務を行いました。フォーマットは不揃い、同じ人の名前が3通りで書かれている、日付の形式も揃っていない——それでも、人がやったのは指示と確認だけです。
本記事はその工程の実録です。ただし先にお断りします。実際の案件のため、依頼元は匿名化し、件数・時間などの数値は改変しています(工程と構図のみ実録です)。また、AIに任せてもそのまま信じてはいけません。二重計上の検出や縦横の検算など、「AIでも検証は必須」という品質面にこそ紙幅を割きました。同じ悩みを持つ方の再現手順として読んでいただけるよう、手順・プロンプト例・落とし穴まで公開します。
「フォーマットが揃っていない」が集計を地獄にする
日報や報告用Excelの集計が面倒なのは、足し算が難しいからではありません。足し算の前の「揃える」工程がほぼ手作業になるからです。実務でよく出会う不揃いは、だいたい次のパターンに集約されます。
- 列の構成が人によって違う:Aさんの日報は「日付・案件・作業時間」、Bさんは「案件・内容・時間・日付」と順番も項目も違う
- 氏名の表記ゆれ:「山田太郎」「山田 太郎(全角スペース)」「山田」——同じ人が3通り以上で登場する
- 案件名のゆれ:「◯◯様リニューアル」「◯◯サイト改修」「◯◯案件」が同じ仕事を指している
- 日付形式がバラバラ:「2026/7/1」「7月1日」「R8.7.1」が混在する
- 1ファイル1シートとは限らない:月別シートに分かれている、セル結合がある、途中に小計行が挟まっている
Excelの関数やピボットテーブルは、データが揃っていれば強力です。逆に言えば、揃っていないデータの前では、まず人間が数時間かけて「揃える」しかありませんでした。ここがAIで大きく変わった部分です。
今回の実務の条件(匿名化・数値改変あり)

今回の実務は、おおよそ次のような条件でした(前述のとおり件数などは改変しています)。
| 項目 | 状態 |
|---|---|
| 元データ | 担当者ごとに提出されたExcel・日報ファイル 約20件 |
| フォーマット | 統一様式なし。列構成・並び順が提出者ごとに異なる |
| 氏名 | 同一人物が「姓のみ」「姓名」「スペース入り」など複数表記 |
| 案件名 | 正式名称・略称・通称が混在 |
| ゴール | 案件別×担当者別の工数クロス集計表を1枚にまとめる |
手作業でやれば、全ファイルを開いて転記・修正するだけで半日仕事になる構図です。しかも来月も同じ作業が待っています。
AIでやった手順:4ステップ

実際の工程は、次の4ステップに整理できます。ポイントは、いきなり「集計して」と頼まないことです。
ステップ1:全ファイルを読ませて「構造の違い」を報告させる
まず全ファイルをAIに渡し、集計はさせずに「各ファイルの列構成・日付形式・気づいた不揃いを一覧にして」と頼みます。ここでAIが「このファイルだけ時間の単位が分になっている」「小計行が混ざっている」といった地雷を先に洗い出してくれます。人間はその報告を眺めて、認識違いがないかだけ確認します。
ステップ2:名寄せの「対応表」を先に作らせ、人が承認する
次が本記事の主役、名寄せ(同一人物・同一案件の表記ゆれを1つに統一する作業)です。やり方はシンプルで、AIに「同一人物・同一案件と思われる表記の候補をペアで挙げ、対応表にして」と指示します。
- 「山田太郎/山田 太郎/山田 → 山田太郎」のような変換対応表をまず作らせる
- AIに勝手に統合させず、対応表を人が見て承認してから変換を実行させる
この一手間には理由があります。実際、今回の作業でAIは同じ姓の別人を同一人物の候補に挙げてきました。担当者名簿と突き合わせて人が却下したので事なきを得ましたが、対応表を挟まず一気に集計させていたら、2人分の工数が1人に合算された表が「それらしい顔」で出てきたはずです。名寄せのやり方として、「候補出しはAI・確定は人」の分担はセットで覚えておくことをおすすめします。
ステップ3:全データを「縦1本」に統合する
対応表が確定したら、全ファイルのデータを「日付・担当者・案件・時間」の4列に揃えた縦持ちの一覧表(データベース形式)に統合させます。列の順番の違い、日付形式の違いは、この段階でAIがまとめて吸収します。ここも指示は一言で、「承認した対応表を使って、全ファイルを4列の縦持ちに統合して」だけです。
ステップ4:クロス集計表を出力する
最後に、縦持ちデータから案件を行・担当者を列にしたクロス集計表を作らせます。合計行・合計列も付けさせます。ここまでくれば、Excelのピボットテーブルで自分で組み直すこともできます。AIの役目は「ピボットが効く状態までデータを整えること」と言ってもいいくらいです。
ここが肝心:「AIでも検証は必須」——検算の3点セット

ここがこの実録でいちばん伝えたい部分です。AIの集計は速いのですが、そのまま信じてはいけません。もっともらしい表を出す能力と、中身が正しいことは別だからです。弊社は次の3つの検算を必ずセットで実行させ、結果の数字を人が見ています。
- 縦横検算:クロス集計表の「行合計の総和」「列合計の総和」「全データの単純合計」の3つが一致するかを照合します。転記や集計のどこかが欠けると、ここでズレとして現れます
- 件数検算:元ファイルそれぞれの明細行数の合計と、統合後の縦持ちデータの行数が一致するかを確認します。「読み落としたファイルがないか」「小計行を明細として数えていないか」がここで分かります
- 二重計上の検出:「同じ日付×同じ担当者×同じ案件」の行を重複候補として全件挙げさせます。今回の実務でも、修正版として再提出された日報が旧版と両方混ざっていた構図の重複がこの検出で見つかりました。検算していなければ、その分だけ水増しされた工数が正になっていたところです
大事なのは、この検算自体もAIに「必ずやる手順」として毎回指示することです。人間は忙しいと検算を飛ばしますが、手順に組み込んでしまえばAIは毎回同じ照合を実行します。集計の自動化とは、検算の自動化とセットで初めて実務に使える——これが今回の実感です。
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かかった時間と費用
時間の目安も書いておきます(数値改変の前提どおり、規模感としてお読みください)。手作業なら「全ファイルを開いて転記・表記直し・集計・見直し」で半日コースの作業が、AIとの分担では構造確認・名寄せの承認・検算結果の確認を含めて1時間程度で終わる構図でした。人間が使った時間のほとんどは「AIの提案を確認して判断する」時間で、転記作業そのものはゼロです。
費用面では、この作業のための追加契約はありません。弊社が普段の業務で使っているAI(Claudeの有料プラン)の範囲内です。BI(データ可視化)ツールや集計システムを新たに導入する方法もありますが、「月に1回、不揃いなファイルをまとめたい」程度の頻度なら、手持ちのAIで十分成立するというのが率直な感想です。
自社で試すなら:小さく始める3ステップ
エクセルの集計やデータ整理をAIに任せるのは、大がかりな準備なしに今日から試せます。おすすめの始め方は次の3ステップです。
- まず2〜3ファイルで試す:いきなり全部ではなく、形式の違うファイルを2〜3個だけAIに渡し、「各ファイルの列構成と、表記が揺れている箇所を一覧にして」と頼んでみてください。構造の違いを言い当てられるかで、手応えが分かります
- 名寄せは「対応表→承認→変換」の順で:「同一と思われる表記の候補を対応表にして。統合はまだしないで」と、確定前に必ず人の確認を挟みます
- 検算をプロンプトに固定で入れる:「集計後に、行合計・列合計・総合計の一致、元データとの件数一致、同一キーの重複行の有無を必ず報告して」と、検算まで含めて1つの指示文にしておきます
参考までに、今回の構図を1本にまとめた指示文の例を置いておきます。
添付のExcel・日報ファイルを集計します。①各ファイルの列構成と表記ゆれを一覧で報告 ②同一人物・同一案件の名寄せ対応表を作成(私が承認するまで統合しない)③承認後、「日付・担当者・案件・時間」の縦持ちに統合 ④案件別×担当者別のクロス集計表を作成 ⑤最後に、縦横の合計一致・元データとの件数一致・同一(日付×担当者×案件)の重複行の有無を必ず報告してください。
なお、日報には取引先名や個人名が含まれます。AIに渡す際は、入力内容が学習に使われないプラン・設定を使うことが前提です。この点は「中小企業のAIセキュリティ完全ガイド」で詳しく解説しています。
よくある質問
Q. Excelのパワークエリやピボットテーブルではダメですか?
A. データが揃っていればピボットテーブルが最速ですし、毎月同じ形式で来るならパワークエリの自動化が向きます。AIが効くのは、その前段の「形式がバラバラで、そもそも揃っていない」段階です。今回のようにAIで縦持ちまで整えて、その先はピボットで見る、という併用が現実的です。Excel業務でのAI活用パターン全般は「Excel業務をClaudeで効率化する完全ガイド」にまとめています。
Q. 名寄せをAIに任せて、間違えませんか?
A. 間違えることがあります。今回も同姓の別人を同一候補に挙げてきました。だからこそ「対応表を作らせて、人が承認してから統合」という順番にしています。候補出しの速さはAI、同一かどうかの確定は名簿を知っている人間、という分担が安全です。
Q. 毎月続けるには、毎回同じ長い指示を打つのですか?
A. 一度うまくいった手順は、AI側に「定型業務」として覚えさせられます。弊社ではClaudeのSkillsという仕組みに手順を登録し、一言で呼び出せるようにしています。やり方は「Claudeに定型業務を「覚えさせる」方法」で実録として公開しています。
Q. どのAIを使えばいいですか?
A. ChatGPT・Claude・Geminiのいずれも、ファイルを読ませて集計する使い方に対応しています(対応形式や上限はプランによります)。どれを選ぶかより、名寄せの承認と検算をプロセスに組み込むことの方が結果を左右します。弊社はClaudeを使っていますが、本記事の手順自体はどのAIでも応用できます。
まとめ:「揃える」をAIに、「確かめる」を仕組みに
- 不揃いなExcel・日報の集計で時間を奪うのは、集計そのものではなく前段の「揃える」作業。ここがAIの得意領域
- 手順は4ステップ:構造把握 → 名寄せ対応表の承認 → 縦持ちに統合 → クロス集計。いきなり「集計して」と頼まない
- 名寄せは「候補出しはAI・確定は人」。同姓の別人を統合しかけた実例あり
- 縦横検算・件数検算・二重計上チェックの3点セットを毎回の指示に固定で入れる。検証なしのAI集計は実務では使えない
- 追加費用なし。普段使いのAIの範囲で、半日仕事が確認込み1時間程度の構図に
弊社では、こうした「不揃いなデータの集計・整理をAIに任せる仕組みづくり」の導入支援を行っています。自社の日報・報告書・売上表に当てはめられるか知りたい方は、お気軽にご相談ください。
※本記事は実際の案件(2026年7月時点)に基づく実録ですが、依頼元保護のため匿名化し、件数・時間等の数値は改変しています。効果を保証するものではありません。
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